【書評】 朝井リョウ、村上龍、西加奈子、ミランダ・ジュライ
全体的に上から目線ですいません。
あなたを選んでくれるもの/ミランダ・ジュライ★★★☆☆
ノンフィクションかつ外国文学でちょっと読みにくかった。
「個人の人生を勝手にストーリーとして当て嵌めてはいけない」とあり、個々人をドラマチックに彩ることに対する警鐘は興味深かった。最後に起こるちょっとした奇跡が現実って捨てたもんじゃないと思わされた。
ライン/村上龍★★★☆☆
一人の男性のお話からその男性の知り合いのお話、その知り合いの話からまた次の関係する人へ…と約20人に起こった出来事、またバックグラウンドを描いていた。短編集と言えるほど各章の繋がりが薄い。現実感も薄い。夢の世界のようなのに文章は鬼気迫るものがあるというバランス。
もう一度生まれる/朝井リョウ★★★★★
上の『ライン』とは対照的に短編集なのにもかかわらず、各章の繋がりがめちゃくちゃ濃い。一つの章で見せる顔と他の章での顔が違い、その違いも物語とリアルの間を縫うようで違和感がない。高校生のときのようにキラキラしてないのに何かを追い求めちゃう大学生、十代という設定が今の僕にぴったりだった。
69/村上龍★★★★☆
上の『もう一度生まれる』とは対照的にこの物語はキラキラしすぎている。1969年という夢と主体性に溢れた時代を高校生の無敵感を通して表現している。こんな頼れる仲間も綺麗なガールフレンド(仮)も上手くいく自主イベントなんてないだろうけど素直に描かれるとどうしようもなく胸が高鳴るし読み進めちゃう。ずるい作品だな。
サラバ!/西加奈子★★★★★
問題を抱えた家族の中で1人まともだと思ってたらなぜか取り残されてく。そのきっかけが◯◯というのが良い。エジプトの描写がリアルで紀行文としても面白かった。すごそうなものは実際下らないことだというのが物語の中で一貫して存在してるのが作者の人生観を表してるのかな、と思う。結局芯を持ってた姉となんなく上手く切り抜けてきた弟の人生の顛末の対比が見事。「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ。」という1文はこの物語を体現している。
サラバ!が一番いい作品だと思いました。