東京の端より愛をこめて

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WITH LOVE FROM THE EDGE OF TOKYO

555ベストエピソードは43から44話にかけてだ。

555ベストエピソードは何話か?

 

8話?確かに最高だ。夢ってテーマを打ち出した。最高。

17話?巧はオルフェノクとして「同胞殺し」の罪を背負うってことだよね。最高。

35話?あんなの見せられたら興奮するしかないよね。最高。

僕は43話だと思う。

 

巧はここまでオルフェノクとしての自分を隠し、なんとか人として生きていた。オルフェノクとしての姿を見せ自暴自棄になるも、仲間の助けや澤田の死で「人を守る」と覚悟を決めた。オルフェノクでも人でもなく「乾巧」として受け入れられ、555として戦う決意を見せた巧。草加や三原との共闘も実現。

木場もオルフェノクではあるが、人を守り続けてきた。

 

この二人、真理、啓太郎、結花、直也を加えた物語の一つのピークが43話だ。

澤田の一件が落ち着き六人は遊園地へ。しかし警察はオルフェノクを襲撃するための準備を着々と進めており、結花を襲う。結花は人を撃退するも罪悪感から警察へ出頭。人体実験の実験台に。助けに入った木場は怒りのあまり警察を襲ってしまう。

 

木場と巧はオルフェノクを束ねる村上と会話する。村上は「人はオルフェノクを迫害する」と言い、木場はその言葉を否定できない。オルフェノクに襲われる刑事を助けようとするも足が動かない…

オルフェノク=人を襲うという構図が崩れ、正義の在処が問われる。木場は「人との共存」に暗雲が立ち込めるのを察した。

 

一方結花は人を襲い続けていたことから、啓太郎に愛される資格がないとして、匿われていた啓太郎の家を飛び出す。その先で敵と出くわし襲われる。

葛藤の末オルフェノクとなり敵を撃退。その場に居合わせた啓太郎。オルフェノクの姿を解き、後ろを向いて場を去ろうとする結花を抱きしめる。

「人間もオルフェノクもみんな幸せになればいい」

巧と木場の理想を体現した瞬間である。二人はつかの間の幸せをかみしめる。

 

40話もかけてやっとたどり着いた「人とオルフェノクの共存」という木場の理想がやっと体現した。だがその木場は人間への不信を高め、やっと築いた友の幸せを素直に喜べないどころか否定してしまう。

 

この全体的に漂うやりきれなさが555の魅力だ。いつも互いに歩み寄ろうとしてもなんらかの邪魔が入る。幸せのあとに訪れる絶望。互いに信じれるものがあるからこそ、すれ違ってしまう。全員の言い分が納得できるものだからこそ、物語に入り込み視聴者の感情が揺さぶられる。

 

44話後半、再び人間とオルフェノクの共存を話し合うために場を設ける巧。しかし警察は裏切り、巧が連れてきた木場、結花を襲う。木場は完全に人間を信じることを止める。結花は襲われ、挙句の果てに死亡。啓太郎とのデートは果たせず。

 

何回見ても最終盤のすれ違いに天を仰いでしまう。

 

「勧善懲悪」だった昭和仮面ライダー、理解されない存在として描かれたグロンギ、神の使いアンノウン、共に戦う存在として描かれた龍騎。そして物語のメインとして深すぎる程描かれた555。

幾年を経てここまで重厚な物語を紡ぐまでになった「平成仮面ライダー」という存在は、タイミング、経緯含め奇跡としか言いようがない。